【おすすめ本】イライラしがちな満員電車でもゆるく笑える『たいのおかしら』

ガタンゴトン、ガタンゴトン。毎朝、毎夕電車に揺られ通勤している私ですが、移動時間は読書タイムと思ってずっと本を読んでます。

疲れてるとき、混んでて窮屈なときに何読んでも頭に入らないんですよねー。

文字だけ読んで意味を把握できず悶々。かといって読書以外にやることもないから、ごちゃっとした中読んでてそれもすごいストレス。

正直、マジで混んでるときの電車はイライラしてます。

「なんとかしないとな…」と考えて買ったのが『たいのおかしら』

我らがさくらももこ先生のエッセイ。

なんとも気の抜けた表現力でゆるい笑いをお届けしてくれるからホントありがたい。きっと満員電車の私の脳をスキャンしたら、このエッセイ読んでいる間はストレス反応が下がってるんじゃないか?笑

もちろん日中の仕事で疲れて「もう頭使う本は読めないな…」って時にもさくらももこさんは大活躍。読むのに力なんていらないし、理解力なんて必要ない。ただ文字追ってれば、うっすら笑えてくるからホント癒し。

この本の出版は1993年で、なんと30年前!(うっすら無愛想なタイの上の帯に1993と書いてます)

このエッセイが書かれた30年後に、満員電車で苦しんでいる1人のサラリーマンを癒しているって考えるとすごいですなぁ。

今回は、たいのおかしらの見どころをゆるっとお届けしていきます〜。

『たいのおかしら』の見どころ
  • 全話どうでもいい話
  • 脳に負担ゼロ
  • 続きが気になって夢中になれる

こんなに面白い本をPRできるかかなり謎ですが、1個ずつお伝えしていきましょう。

目次

全話どうでもいい話

最初の1ページから最後のページまで、ひとつも役に立たない話で構成されてます。

どんな話かといえば

  • 歯医者にいって麻酔が怖いから笑気ガスを吸った話。
  • 仙台ダンスを求めて、色々なお店を探したけどなかなか見つからなかった話。
  • 旦那がマジックにハマっている話。

ね?マジでどうでもいいでしょ?

一応、エッセイの最後にお楽しみとして若かりし日の三谷幸喜さんと対談に約30Pの紙面が割かれていますが、なんとほぼオナラの話。
著名人2人が集まって、オナラを家族の前でするか、音が出るとか出ないとかマジでくだらないことを話し合っております。

こっちも「自分なに読んでるんだろなぁ」って感じです笑

でもなんかクスっとするんすよね。ついつい笑っちゃうというか。
さくらももこさんの独自の感性で日常のどうでもいいことの可笑しみを、まんべんなく味わっている感じ。

これ読むと、ちょっと自分とのおしゃべりがユーモラスになるのは間違い無いでしょう笑

脳に負担ゼロ

この本は、非常に省エネで読める珍しい本です。たぶん「解決ゾロリ」よりもかる〜い気持ちで読めるんじゃないかぁ。
ひとつのエッセイに長くても4〜5P、やや大きめの文字で漢字も少なめ。くだらない話をすんなり読めるように徹底的に配慮されたエッセイだといえましょう。

すごいのが、圧倒的な表現力&発想力。

たとえばこの一説

 小杉のばばあの形相はひと目でお人好しでない事を物語っていた。鬼の面の方がまだ優しそうな顔をしている。瓦せんべいに何かの手違いで目鼻がついたような顔である。その低く幅の広い鼻は地球の空気を無駄に多く吸引し、牛の生血をすすってそうな口からはガアガアと下品な声を大きく響かせ、さして大きくない目からは射すような眼光を放って相手を威嚇し、短く太い足でドシドシと地面を踏みつけながら生きていたのである。

『たいのおかしら』

「なんと失礼な…!」と思ってしまう点には一旦目をつむりましょう笑
この一冊読み切るのに何度「見事な表現力」と唸ったことでしょうか。小気味いいリズムと、その例えの分かりやすさ、さらには漢字、ひらがな、カタカナのバランスに心の中で拍手喝采でした。

一文読むと、自然と次の文に惹きこまれて、あれよあれよとその項が終わってしまう。難しい解釈なんてしなくても文章に任せれば自然と楽しめる。

どこまでも読者の負担を和らげようと配慮された文章です。
これはブロガーさんたちにぜひ読んでほしい(私もこういう文章書けたらいいな。書けるようになりたいな。)

続きが気になって夢中になれる

いつも電車に降りる時って、本もパタンって閉じるんですけど『たいのおかしら』は違いました。

その項が終わるまで歩きながら読んでました笑
スマホ歩きならぬ、読書歩きです。

次の言葉を惹きつける言葉を選んでるから、読み終えるタイミングがマジで分からん。世界一どうでもいい話のはずなのに、いつの間にかさくらももこワールドの中で、そのゆる〜い笑いの虜になっちゃいます。

「これ、どんなオチにするんだろう。」とワクワク期待しながら読めるエッセイってなかなかないんじゃないでしょうか。

見開きたった2ページの中に、ちょっと笑える要素がどこかに必ずあるのもついつい読んじゃうポイント。

この本の悪いところは、すぐに読み終わっちゃうところ。
私はゆるい笑いが癖になっちゃってさくらももこさんの他のエッセイ5冊くらい買っちゃいました笑(いつか紹介します)

時代を築いた作家さくらももこさんのユル笑いに癒されてください。

「疲れたなぁ。頭使いたくないなぁ。笑いたいなぁ。」ってときの候補にぜひさくらももこさんを入れてください。読んだら最後、クスクス笑いながら夢中になって一冊読み終えちゃうでしょう。

それと同時に、文章の隅から隅まで行きとどいた配慮に「書く」ことについて学べる点は多い一作。あんまりビジネスと結びつけるのもどうかと思いますが、資料や経緯書、メールの作成なんかに割とインスピレーションになるんじゃないでしょうか。
(私はブログで大いに役に立ってます)

時代を作った作家、さくらももこさんが送るゆる〜い笑いをぜひぜひ堪能してみてくださいな。

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