【おすすめ本】昆虫学者が食欲について書いた「食欲人」がめちゃくちゃ面白い

色々食事に関する本を読んできたんですけど、『食欲人』はちょっと異色な本でした。
昆虫学者がバッタの栄養摂取について調べてたら、「タンパク質の摂取量をコントロールしている!」と気づいて、齧歯類、霊長類、人類にまで30年以上かけて進めていった軌跡が超おもしろい。

結論的に推奨する食事は、鈴木佑さんの『パレオダイエットの教科書』と同じなんで、「あーやっぱりかー」と確信できてひとまず安心でしたが、知らないこといっぱい書いてて食を考える大きなヒントになりました。

栄養バランスについて書いてる本はたくさんありますが、『食欲』にフォーカスしてるのはこの本くらいじゃないかなぁ。

人間がお腹いっぱいになっても食べたくなるのはなぜか?にスマートに順を追って解説されてます。

ダイエット本っていうよりは「すでに食事とか結構極めてて、もっとメカニズム的なことが知りたい」っていう中上級者向けの印象。
メイン軸としては著者の昆虫学者さんが昆虫→ネズミ→霊長類→人間と研究を重ねていって、「食欲とは?健康的な食事とは?」って疑問を少しずつ解いていく感じです。

約400Pくらいなんですけど、人間の話をするのは260Pくらいからで、ほとんどは昆虫とか野生動物の研究の話。

生物に共通する食欲のメカニズムを理解しながら読む必要があるので、科学的な本に慣れてない人はめちゃくちゃしんどいかと。
「フツーの食事の本は同じ内容すぎて飽きちゃったんだよね!もうちょっと根本的なところからり知りたいんだよね〜」って人向け。

個人的には、砂漠で1匹のバッタを24時間追いかけたり、猿の集団に半年かけて警戒心を解いてもらったりと「ほぇ〜研究者って大変だなぁ」と笑いながらも、タンパク質と脂質・炭水化物との接種率の関係を知ったり、緩みかけていた食生活のバランスを改めて整えようとシャキッとできた本でした。

そんなわけで備忘録もかねて面白かったポイントを3つほど紹介していきます。

目次

トランス脂肪はもはや毒物ぜったい食うな。

世界保健機構(WHO)の推計によれば、トランス志望の摂取が原因で、毎年世界で50万人以上が心臓病で亡くなっている。

「食欲人」

健康系の本に絶対でてくるトランス脂肪。
毎日使ってる人は、知らない間にゆるやかに毒を摂取しているみたいなもんなので、とりあえず植物油脂と書いてあるものを片っ端から捨てましょう。

私の場合は味の素のエクストラバージンオリーブオイルを使っております。
スーパーで手に入るし、値段もちょうどいいんでおすすめ。

デブの元!絶対に摂ってはいけない『超加工食品』

 では大量生産された市販のアイスクリームの製造に一般的に使用される原材料を見てみよう。

 石けんや合成洗剤、合成樹脂、香水にも使われる「酢酸ベンジル」。染料やプラスチック、ゴムにも使われる「C-17アルデヒド」。燃料ガスのブタン由来で、衣料品や殺虫剤、香水にも用いられる「ブチルアルデヒド」。ひと昔前、病院でアタマジラミの駆除に使われていた「ピペロナール」。ノリやマニキュアリムーバーにも使われる「酢酸エチル」。

「食欲人」

アイスヤバくない?

サンパウロ大学のカルロス・モンテイロ教授さんが世界中で食品と肥満との関係を調べてるそうなんですが、彼によると「超加工食品」を摂れば摂るほど肥満になるんだとか。

『食欲人』では加工レベルを4つに分類するNOVAシステムが紹介しております。

加工レベルの低いグループ1から、絶対に摂ってはいけない超加工食品のグループ4の分類法と、「なぜ超加工食品を摂ってはいけないのか?」が怖いくらい解説されてました…

ただ、分かりやすさでいうとちょっとイマイチ。
まずは『パレオダイエットの教科書』の食事の基準に従ってれば、大丈夫そうです。

食物繊維はダイエットの強い味方。たくさん摂ろう。

食物繊維は胃で膨潤し、消化速度を遅らせ、腸内微生物の餌になる──これらすべてが組み合わさって、空腹感を抑える効果がある。

『食欲人』

食物繊維が腸内微生物の餌になって、短鎖脂肪酸、ビタミン、アミノ酸などを生成して免疫系を支えるってのは知ってましたが、物理的に膨らむとは初耳でした。

レタス、キャベツ、ほうれん草などの葉物野菜はもちろんですが、サツマイモやジャガイモなども蒸して冷やすとレジスタントスターチっていう食物繊維が豊富に取れるのでめっちゃおすすめです。

個人的には14時過ぎくらいにイヌリンを水に溶かして飲んでまして、スプーン1杯でレタス1個分の食物繊維が摂れて、便通もさわやかになりました。

身体はすごい。左右の乳房から違う母乳を出すワラビー。

母乳って赤ちゃんの発達度合いに合わせて、成分を微妙に調整しているんだそうな。
0歳児と1歳児じゃタンパク質の配合量とか違うらしくて、ホントに体って神秘的だなぁと感心してたんですよ。

で、野生のワラビーを例が出てたんですけど、これが神秘的。

 おまけにメスは年齢の異なる2匹の子を同時に袋に抱えることもある。その場合は、特定年齢に必要な栄養のカクテルを生成する専用の乳首が、それぞれの子に与えられる。

「食欲人」

え?乳首ごとに栄養変えるの!?

子供が2人いるママさんワラビーは、それぞれの発達度合いに応じて母乳をつくり、乳首を割り当てるそうです。
母の愛ってすごいなぁ。と感心してしまいました。

この『食欲人』では、ダンボールからも栄養が取れるゴキブリや、やたら派手なバッタの生態など、どうでもいいんだけど「生物すげー!」って思える実験がた〜くさん書いてありました。クスっとしながら読めるのは個人的に評価が高いです笑

『食欲人』を読んでほしいのはやっぱり健康オタク

記事を書くために全体を読み直しましたが、やっぱり『食欲人』はやや難しめの印象。
小難しい話がほとんどで、ここではカンタンで理解しやすい話だけをまとめました。

この本を読んで興奮できるのは「科学大好きな健康オタク」かなと思います笑
実験や研究の話がこれでもかってくらい収録されているので、根拠大好きな私みたいな人間にはたまりませんでした。

食欲の奥の奥のメカニズムが知りたいんだよねぇって方にはたまらない本だと思います。
ハーバード大学の先生も絶賛なので、科学大好きな方はぜひ。

これから健康を極めたい!って人は、とりあえず『パレオダイエットの教科書』から始めた方がよさげ。
私の知人はこれで13キロ痩せれたんで、特にも痩せたいぜぇって方は読んでみてくださいな。

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